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フォレックス・ディーラー物語 |
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Forex Dealer Stories |
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ブラック・マンデー |
Black Monday |
No.20 |
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9%を超えてからの金利上昇のスピードが速い。
俺は怖くなって積極的にはオファー(Offer)しなくなった。
それまでは、毎朝、会社に来てから、ロンドン市場の様子を調べて、すぐにオファー(Offer)を出していたのだが、何もせずにブローカーが伝えてくるマーケット・プライスを聞くだけにしていた。
すると、ほんの数日でナイン・アンド・クウォーター(9and1/4、9.25%)がビッド(Bid)になってしまった。
うちが1/16%毎に500本 オファーしていたのが、急になくなった影響も少しはあるようだ。
もちろん、マーケットは巨大だし、たかだか、一市場参加者がオファーしようが、しまいが本質的には何ら変わらない。
多くの市場参加者が、まだ、金利が上昇しそうだとみて積極的に資金を『取る』側にまわった。これまでは、常にあった500本づつのうちのオファーがないものだから、需給からちょっと跳ね上がったように思えるだけだ。
オファーが薄いものだから、市場レートは「クウォーター・トゥ・ハーフ(9and1/4
to 1/2%)」になり、あせったディーラーが9.5%を『取った』。
『出会って』しまえば、それがマーケットになってしまう。
今日のニューヨーク市場は、9.25%から9.5%まで急上昇したことになる。薄いマーケットで『出会い』が少なくても、『出会ってしまえば』それがマーケットなのだ。
9%を超えてから、俺はあまり『出して』いない。
『出さなくて』良かった、少なくとも「負け」をセーブしている、そう思った。
もう、『評価損』なんて計算したくもない。
田辺課長に報告しなくちゃと思ってさがしたが、今日もコンピューター・システム開発のプロジェクトで外出している。
大手米銀のディーリング・サポート・システムを見学しに行っているのだそうだ。
夕方まで田辺課長が帰ってくるのを待っていたのだが、なかなか戻って来ない。
5時を過ぎてから、田辺課長から電話があった。
「マット! テレフォン! フロム・ミスター・タナービィ!」
(Matt! Telephone! From Mr.Tanabe!)
「オーケー!」
(OK!)
「ああ、梅田?」
「はい。 梅田です。」
「まだ、時間がかかりそうなんだよ。
けっこう熱心に説明してくれるもんで、あと1時間くらいはこっちにいることになりそうだ。
俺、今日は、ここから直帰するからな。」
「わかりました。
ワン・イヤー・デポでナイン・アンド・ハーフ(9and1/2%)が出会いました。」
「そっかぁ・・・・・。 思ったよりも速いなあ・・・・・。」
「はい・・・・・。」
「じゃあ、明日、ミーティングやろう。 先に帰っていいぞ。」
「はい。 わかりました。 お先に失礼します。」
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