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松田 哲 様
前略
この度は突然のお手紙でのご連絡をお許しくださいませ。
『「希望の国のエクソダス」取材ノート』刊行の際は、大変お世話になりありがとうございました。お陰さまで、読者からも好評を得ております。
さて、弊社では5月に『希望の国のエクソダス』文庫版の刊行を予定いたしております。つきましては、村上氏の小説執筆にご協力いただいた皆様が、『希望の国のエクソダス』という作品をどのようにお読みになったのか、作品に描かれた近未来といまの日本の現状をどうご覧になっているのかなどをお書きいただき、解説に代えて巻末に収録させていただきたいと考えております。これは村上龍氏のご希望であり、ぜひご協力いただけますようお願いする次第です。
お忙しいところ急なお願いで恐縮ですが、ご検討の程、何卒よろしくお願いいたします。
草々 |
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「希望の国のエクソダス」文庫版 寄稿
「この国には何でもある、ただ、『希望』だけがない。」
『村上龍』さんの慧眼(けいがん)に驚かされる。
「希望の国のエクソダス」の連載が始まったその当時(1998年)には、まだ、更なる混迷を続ける日本を憂慮する人は少なかった。
不況が続いてはいるものの、時間が経てば、いずれ回復するに違いないといった、漠然とした期待感があったのだろう。
ところが、「山一證券」「そごう」といった大型倒産を鏑矢に、景気は低迷を続けた。
多くの銀行が、債務超過に陥り、「長期信用銀行」「日本債権信用銀行」といった大銀行が潰れて、国の管理化に置かれた。
ゼネコンやスーパーは、金融機関の債務放棄がなければ、とっくに、もっとたくさんが潰れている。
失業率は伸び続け、「リストラ」という言葉は流行語になった。
企業の倒産や、失業を原因とした自殺者は増加するいっぽうだ。
株価は低迷し、日経平均も1万円を何回も割り込んだ。
バブル期の最高値(約3万8000円)と比べると、四分の一の値段だ。
日本経済は、最悪の軌跡を描いている。
経済だけではない、何を信じ、何を望み、どこに向かえば良いのか、今の日本人は、一様に答えを見いだせないでいる。
今頃になって、誰しもが感じていることだ。
もうどうにもならないところまで日本は追い詰められた。
しかし、それでも、これは、単に「破壊」と「創造」のサイクルに過ぎない。 だから、心配する必要はないのだ、と、私は信じたい。
パンドラが箱を開けて、「苦しみ」と「悲しみ」が世界に飛び散ったときに、箱の底には「希望」が残った。追い詰められ、破壊されて、すべてが失われた時に、初めて、新しい『何か』が生まれてくるのだと信じたい。
外国為替市場の変貌も、「破壊」と「創造」のサイクルの外にはいられない。
目の前で、信じられないほどのスピードで、変わっていく、大好きだったマーケット。
きっと、今から数年後に、外国為替取引を始める若いディーラーたちは、
「へー・・・。 松田さんのころって、人間が『声』で売買していたんですねぇ・・・。 それって、アナログ的で、凄いですねぇ・・・。」
なんて言うんだろうな・・・。
今、誰かが、書いておかないと、誰の記憶にも残らなくなっちゃう・・・。
そんな気持ちでいた頃に、私は『村上龍』さんに出会いました。
私は、材料を提供して、「外国為替市場(フォレックス・マーケット)」のことを文章にして残してもらおう、と考えました。
「フォレックス・ディーラー」はモチーフとしては面白いようですが、でも、やっぱり、自分の伝えたいことと、作家の興味のあるところは、どうしても一致しないようです。
人に頼んでも自分の書いてほしいことを書いてもらえるわけじゃないんだ、自分で書くしかないんだ、と気がつきました。
そこで、「じゃあ、まあ、とりあえず書いてみようか」と。
そして、それをインターネット上で掲載することにしました。
→「フォレックス・ディーラー物語」
http://www.d4.dion.ne.jp/~smatt/index.htm
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