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外国為替の基本と
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フォレックス・ディーラー物語
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Forex Dealer Stories


ブラック・マンデー
Black Monday   No.6

 田辺課長は一息いれた。

 我々三人はそれぞれ『なるほど』と黙っていた。



 ちょっと間を置いてから、関口支店長が、
 「田辺くん、それでは逆の『出す』場合も詳しく説明してくれないかね。」
 と切り出した。


 「はい。

 では、今度は『出す』場合のケースを説明しましょう。

 『取る』場合の逆ですから、もうお分かりだとは思いますが、確認のために・・・・・。」


 【いや・・・・・、俺は田辺課長の説明を、しっかりと、聞いておいた方が良さそうだ・・・・・】
 そう思ったが、俺は黙っていた。


 「逆の『出す』場合には、金利が上昇してゆくに連れて『含み損』を抱えることになります。

 分かり易くする意味で、先ほどと同じ例を使いましょう。

 ワン・イヤー(1Year、1年)を1億ドル『出し』ます。
 これは7パーセントです。

 ワン・イヤー(1Year、1年)金利が8パーセントに上昇した時点で、マーク・トゥ・マーケット(実際の市場レートで計算した現在価値)で引きなおすと『含み損』になる訳です。

 マーク・トゥ・マーケットはその資産の現在価値ですから、この場合『出した』デポを市場から『取って』きたらこれだけの損失になります、ということです。

 ところが先ほど説明したように『含み損』があったとしても、毎日オーバー・ナイトで、資金不足のカバーを取るのならば、そのコストが7パーセント以下である限り『実現益』を受け取れることになります。

 まあ、『含み損』が出ていても、それを維持できる体力があれば、毎日『現金収入』を貰えるということです。」

 俺は、また、『なるほど・・・・』と思って黙って聞いていた。

 田辺課長がさらに続けた。

 「過去に良いところで『出して』いたデポの満期が来て、アセット(資産)が減少していますから、金利の上昇に連れて、徐々に『出し上がって』良いのではないかと思います。」

 「そうかね。」
 関口支店長が答えた。

 「篠原くん、トレジャリー・ボンド(Treasury Bond、米国国債)はどうですか?」

 篠原副支店長が証券の戦略について答えた。

 「トレジャリー・ボンド(Treasury Bond、米国国債)については、まだ、しばらくは買いを見送りたいです。
 ドル金利が上がるなら、当然、トレジャリー・ボンドの価格は下がりますから。

 ただ、現在保有しているトレジャリー・ボンドはそのままにしておきたいですね。

 わざわざ売る必要はない。

 今、持っているボンドは金利水準の高いときに購入していますから。

 先ほどの、田辺くんの説明とだぶりますが、うちのボンドの資金は、事実上オーバー・ナイト・デポでカバーをしているようなものです。

 金利が上昇したら、少し様子を見たうえで、むしろトレジャリー・ボンドを買い増ししたいですね。」

 「うちのトレジャリー・ボンド(Treasury Bond、米国国債)のコストはどれくらいですか?」
 関口支店長がさらに尋ねた。

 「かなり良い時に買っていますから、田辺くんの説明で言うならば、11パーセントで『出して』いるようなものですね。

 トレジャリー・ボンド(Treasury Bond、米国国債)の期間は長期ですから、短期のデポ取引とリスクは比較になりませんが。

 現在、持っているボンドの種類は10年ものが中心です。

 30年債も少しありますが、金利が上昇すると考えている訳ですから、これはいったん『利食い』で売っても良いくらいかなと見ています。

 まあ、それでも、オーバー・ナイト金利が10パーセントまで上昇することはないと思いますがねぇ・・・・・。」




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