ブラック・マンデー |
Black Monday |
No.12 |
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何日か経って、思惑(おもわく)通り「金利」は上昇を始めた。
ワン・イヤー(1Year, 1年ものデポジット取引)のビッド(Bid)がセブン・アンド・クウォーター(7and1/4,
7.25%)になった。
オファー(Offer)はスリー・エイス(7and3/8, 7.375%)だ。
【ふーん・・・・・。 予定通りだなぁ・・・・・。
金利が下がるって言う人は、誰一人いなかった。
まあ、俺だって下がるとは思わないよな。
アメリカの景気は良い訳だし、確かにダウ(Dow-Jones)も上がっている。
これで金利が下がったら、おかしいよ・・・・・。
でも、なんか、つまらないな・・・・・。 意外性が無いんだよな・・・・・】
田辺課長の言う通り、ワン・イヤー(1Year,
1年ものデポジット取引)が上昇を始めると、妙に手前の短い金利のオファーが強い。
1年の金利は、7and1/8%(7.125%)から、実際の取引の『出会い』で考えると、7and5/16%(7.3125%)あたりまで上昇している。
俺は、暗記していないので、どうも分数だとわかりにくいのだが、小数でいえば、だいたい0.2%くらい上がったわけだ。
金利の通(つう)に言わせると、0.01%をワン・ベーシス・ポイントと呼ぶそうだ。
だから、正確に言うならば、18.75ベーシス・ポイントの上昇になる。
[7.3125 − 7.125 = 0.1875]
オーバー・ナイト(Over Night)金利は6%程度で安定している。
これも、オファー気味だ。 実際の出会いは5%台だ。
スリー・マンス(3Months, 3ヶ月ものデポジット取引)は、シックス・アンド・クオーター(6and1/4
%)だったのが、むしろ下がっている。
今日のスリー・マンス(3Months)は、シックス・アンド・ワン・シックスティーンス(6and1/16%)の出会いだった。
小数でいえば、だいたい0.2%くらい下がったことになる。
これも、ベーシス・ポイントで正確に計算するなら、18.75ベーシス・ポイント下がっている訳だ。
[6.0625 − 6.25 = - 0.1875]
俺は田辺課長のお話を懸命に思い出していた。
【金利が上昇する場合には、市場参加者がいっせいに長めの資金を『取ります』。まあ当然のことですよね。『金利が高くなるのならば、早めに資金調達しておこうか』、『金利が安いうちに、お金を借りておこうか』、そう考えるのが普通ですから。
そうすると、ごく短期的な現象なのですが、需給から、手前の資金がみんな余剰になるんです。
資金を『取る』ということは資金が手元にある状態になる訳ですから、これが余剰資金として、いっせいにオーバー・ナイトに『出して』くることになります。
そうすると、1年とか、それ以上のターム(Term,
期間)の金利は上がっているのに、オーバー・ナイト(Over Night)やワン・マンス(1Month)といった手前の金利が下がる現象が起こることがあります。】
早くもマーケットは手前の資金が余剰になっているようだ。
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