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イミグレーション(入国審査、Immigration)で、パスポートや書類を出した。
一段高いところに座っている女性が、俺に英語で何か言っているのだが、さっぱりわからない。
イミグレーションの女性は、こっちが英語を話せないと気が付いて、パスポートに貼ってある写真と俺の顔を比べてから、
「オーケー!」
とだけ言って、後ろの通路を右手の親指で指した。
どうやら通って良いようだ。
「サンキュー!」
そう言って細い通路を抜けた。
自分で言っておきながら、何で『サンキュー』なんだろうと思った。
イミグレーションを通り抜けたのだから、正式にアメリカ合衆国に入ったんだ。
ニューヨークに着いたんだ。
まだ、スーツ・ケースを受け取っていない。
矢印や英語の看板があるが、絵で描いてくれないと、俺にはどうもよくわからない。
まわりの人達も手荷物を持っているだけだから、この人達もスーツ・ケースを受け取る場所に行くのだろう。
そう考えて、人の歩いて行く方向に付いて行くことにした。
2個のスーツ・ケースを取ってから、今度はスーツ・ケースを持っている人達の行く方向に付いて歩いた。
スーツ・ケースを受け取ったら、この人達は、当然、出口に向かうはずだ。
何とか出口に着いたようだ。出口らしき絵の表示板が自動ドアの上にある。
自動ドアが開くと、その向こう側に銀色の柵が見える。
その柵の向こうに人がいっぱいいる。
そのうちの何人かはボール紙のようなものを胸のあたりに掲げている。
その紙には手書きの英語が書いてある。おそらく、人の名前だ。
その人を迎えに来ているのだろう。
俺も迎えに来てくれることになっている。
田辺課長だ。
ニューヨークで、唯ひとり、俺の知っている人だ。
しかし、知っていると言っても、半年ほど前に一回だけ東京でお会いしただけだ。顔もよく覚えていない。
ただ、人は一度会ったことがあると、なんとなく会ったことがあるなぁとわかるものだ。だから、なんとかなるだろう。
それに、よく見ると、東洋系の人のほうが少ない。髪の毛の色もさまざまだ。
日本人どうしだからなんとか見つかるだろう。
俺はきょろきょろとあたりを見た。
「おーい、梅田!
ここだ、ここだ!」
俺に手を上げている。
『あーよかった・・・・・。
田辺課長は俺のことを覚えてくれたようだ。
うん、そうだ。
この人だ。
会ったことがある・・・・・。』
「ああ、田辺課長、お世話になります。
よろしくお願いします。」
「おお。
無事着いたようだなぁ。」
「はい。」
「よし、じゃあ行こうか。
あっちに車を待たせてあるから。」
「はい。」
「そのスーツ・ケース、1個持ってやるよ。」
「いや、だいじょうぶです。
田辺課長に迎えに来てもらった上に、荷物まで持ってもらったら申し訳ありません。」
「遠慮するなよ。
梅田はニューヨーク初めてなんだろう?
海外赴任の最初だけは親切にしてやるよ。
ハハハ・・・・・。
慣れるまでは大変だからな。」
迎えの車は、黒塗りの大きなやつだ。
驚いた。
アメリカ映画などでみる、前後の長さが二倍ほどあるような車だ。
日本のハイヤーの運転手さんのように、白いカバーを付けた帽子に紺のジャケットを着て、白い手袋をしている。
その運転手さんが日本語で喋ったので、また驚いた。
『あれ、ここはどこだ?』
「そのスーツ・ケースは、私がトランクに入れますから、こちらへどうぞ。
先にお乗りください。」
そう言って、黒塗りの車のドアを開けてくれた。
『うーん・・・・・?
うちの会社の運転手さんかなぁ?
そうすると、この車は支店長の専属車かなぁ?
そういえば、日本の支店には支店長車と専任の運転手さんがいるからなぁ・・・・・。』
「梅田、先に乗れよ。」
「はあ・・・・・。」
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