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フォレックス・ディーラー物語 |
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Forex Dealer Stories |
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ブラック・マンデー |
Black Monday |
No.2 |
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関口支店長が切り出した。
「いやぁ、今後の方針なんだが、だいぶアセット(資産)が少なくなってきている。
まあ、今のところ利益は順調なんだが、このままだと、利益がでる高金利のアセット(資産)の満期が来てしまって、来年以降の収益のめどが立たない。
そこで今後どうしようかという相談なんだが。」
われわれニューヨーク支店の最大の収益源は、「金利の取引」、「証券の取引」そして「外国為替取引」だ。
大手邦銀のニューヨーク支店とはいえ、決して一般の銀行貸し出し業務(ローン)ではない。
アメリカにはアメリカの銀行がいくらでも在るから、普通のアメリカの企業や個人がわざわざ日本の銀行からお金を借りる必要はない。
一部の邦銀のニューヨーク支店は個人を相手にリーテイル業務(小売り業務)として、窓口での預金業務や個人のローンを手がけているが、たいしてうまく行っているわけでもない。
だから、大手邦銀のニューヨーク支店といっても、アメリカで一般の銀行業務をやっているわけではないのだ。
かといって、全く貸し出し(ローン)業務がないのではない。
日本の企業が、さまざまな理由で海外進出をする際に、ドル資金が必要になる。
そういう場合にドルの貸し出し(ローン)が起きる。
要は、ニューヨークでも、邦銀の主なるお客様は日本人ということだ。
日系企業に貸し出しを行うことを「黒目ローン」、米国企業に貸し出しを行うことを「青目ローン」と呼ぶ。「黒目ローン」の方が「青目ローン」よりも多い。
かといってそれが悪いと言っているのではない。
中国の華僑のほうが、行動は排他的だろう。
シンガポールをマレーシアから独立させたように、華僑グループは国家までも造り上げてしまう。
世界中、どこに行っても中華街がある。
日本なら横浜と神戸が有名だし、ニューヨークにもダウンタウンにチャイナタウンが在る。
日本人にはそこまでのバイタリティがない。
ただ、いつの時代も食い物にされるのは同族であることが多い。
日本人の食い物は日本人で、中国人の食い物は中国人ということだ。
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かなり話が横道にそれた。
「金利の取引」は通常「デポ取引」と言う。デポはデポジット(Deposit)の省略で、「預金」のことだ。
銀行間で資金を預けたり借りたりする。
大手の銀行間での取引だから、一回の取引額が大きい。
一般的には百万ドル($1,000,000)が最小の単位だが、われわれはミニマム一千万ドル($10,000,000)で取引をしている。
取引の期間は、短いものはオーバー・ナイト(Over/Night, O/N)取引といって、今日から明日までの一日のものから、2〜3年間のものまでバリエーションは様々だ。
もちろん、それ以上に長い期間の取引も可能なのだが、「デポ取引」では、5年を超える取引はなかなか相手が見つからない。
5年を超える取引は、「証券の取引」で行う。
われわれの言う「証券の取引」とは、「トレジャリー・ボンド(Treasury Bond)」の売買のことだ。アメリカの国債を「トレジャリー・ボンド(Treasury Bond)」と言う。
「トレジャリー・ボンド(Treasury Bond)」は最長30年ものまである。
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