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外国為替の基本と
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フォレックス・ディーラー物語
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Forex Dealer Stories


ブラック・マンデー
Black Monday   No.9

 そんな話をしている最中に田辺課長が戻って来た。

 「何話してんだよ? 俺のことか?」

 中嶋さんが答えた。

 「絵を描いていた田辺くん、って話していたのさ。
 それから、学生時代と比べると明るくなったってな。
 何か吹っ切れたんじゃないかなってな。」

 「ハハハハハ・・・・・。 そっか。
 そう言えば油絵を描いていたなぁ、あの頃・・・・・。
 お互い、いい年になったよな。」

 「田辺のとこは、仕事は順調か?」

 「ああ。 今のとこは順風満帆だな。
 中嶋のとこはどうだい?」

 「俺のとこは、まだ当分おとなしくしていないとな・・・・・。
 もうしばらくは、だめだな。」



 中嶋さんの勤める銀行で、1年ほど前に100億円ほどの為替売買損が出てニュースになった。



 俺は、余計なことを言わないように黙っていた。


 「明日は我が身だからなぁ・・・・・。
 相場っていう、わからないことをやっているわけだからなぁ。
 でも、中嶋は直接関係ないんだろ?」

 「ああ・・・・・。 でも、同じセクションだからな・・・・・。
 俺はもうだめだよ。 偉くはなれないなぁ・・・・・。
 あんな事件が有っちゃね。
 俺も、ちょっと頭打ちにされるだろう。」

 「そうかぁ・・・・・。」

 「田辺は、そうならないように気を付けろよ。」

 「ああ・・・・・。」




 「中嶋はドル金利をどうみてる?」

 「目先、上昇だな。
 イヤー(Year,1年)で1パーセントから1.5パーセントぐらい上がると見て良いんじゃないか。
 ダウ(米国株式市場)も堅調だしなぁ・・・・・。」

 「梅田、よく聞いておけよ。
 中嶋のところも同じような見通しだな。

 金利ってのは、極めてロジカルなんだ。
 それはね、金利には『公定歩合』があるからなんだ。
 まあ、ドル金利で言えば、『ディスカウント・レート(Discount Rate)』だな。

 この『ディスカウント・レート』は、マーケット(市場)じゃなくて、人間が決めるんだ。
 それも中央銀行とか、財務省とか、その時の政府といった、ごく一部の、一握りの、人間の判断によって決められる。

 だからと言って、金利は世の中の人たちに深く関係しているから、あんまり急激に変動させるのは好ましくないわけだ。

 例えばな、ちょっと景気が悪くなりました。
 だから、『ディスカウント・レート』を3パーセント引き下げます。

 そしたら、景気が急回復して、じゃあまた3パーセント引き上げます、ってなわけにはいかないだろ。

 だから、今みたいに、景気が良い時は金利を上げるんだけれど、いっぺんに2パーセントも3パーセントも上げるんじゃなくって、ハーフ(0.5パーセント)上げる。

 そして、様子をみる。

 足りなければ、また、ハーフ(0.5パーセント)上げる。
 そんな風に小出しに上げるんだよ。」

 俺は心の中で、
 『なるほど・・・・・。』
 とつぶやいていた。

 「金利の動きで大事なのは方向を誤らないってことだ。

 ただ、金利の方向性はちゃんと勉強すれば、誰にでもわかる。

 それから、『公定歩合』とか『ディスカウント・レート』の動きは同じ方向に少なくとも3回は動くってことかな。

 これは、絶対ではないんだけれど、さっきも言ったけど、一部の人間が様子を見ながら小出しに上げたり下げたりするわけだ。
 だから、普通は足りなめなんだよ。

 逆に『公定歩合』とか『ディスカウント・レート』が半年ごとに、ハーフ(0.5パーセント)上がったり下がったりしたら、マーケットから信認されなくなっちゃうだろ。

 そんなことするくらいだったら、金利を動かさないで様子を見るべきだって、マーケットの参加者は考えるわけだ。

 わかるかな?」

 「はい。 よくわかります。
 田辺課長、説明うまいですねぇ。
 先生になれますよ。」




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