ドル円ユーロ投資入門
ドル円ユーロ投資入門
Amazon.co.jp
外国為替の基本と
カラクリがよ〜くわかる本

外国為替の基本とカラクリがよ〜くわかる本


Line
≪前のページ 次のページ≫
フォレックス・ディーラー物語
フォレックス・ディーラー物語
Forex Dealer Stories


ブラック・マンデー
Black Monday   No.16

 時として、うちの「オファー」を飛び越えてマーケットはじりじりと上昇した。

 毎朝、会社にくると、ロンドン市場での金利の動きを調べてから、

 「ジョイン・ジ・オファー・アット ×××。」
 (Join the offer at xxx.)

 まず、オファーを入れるはめになった。

 1/16刻みに500本(5億ドル)『出す』のは、「クレジット・ライン」の制約があるので大変な作業だ。

 金利が上昇を続けていると、うちの「オファー」を飛び越えて、その上のレートが出会ってしまう。

 俺は出来れば少しでも高いレートで『出したい』のだが、そういう高いレートを『取って』いる相手(カウンター・パーティ)に限って「クレジット・ライン」がない。

 また、そういう高いレートを払ってでも『取っている』銀行は、自分たちの銀行の「格付け」が悪いのをちゃんと知っていて、わざと高いレートを提示する。
 そうでもしないと、みんな『出さない』のだ。


ライン

ライン


 先ごろ話題になった、貸し渋りとか、「ジャパン・プレミアム」なんて、世界中の至る所で、昔からあった話だ。

 『いまさら何言ってんだ』ってのが、本音のところだ。

 「格付け」が下がると誰も貸してくれない。
 それが当たり前の常識なんだ。


ライン

ライン


 毎日、毎日、ワン・イヤーのデポを『出す』作業が続いた。

 邦銀同士の「クレジット・ライン」は「枠」が大きくて、制約が緩やかだ。

 だから、邦銀の「ビッド(Bid)」に当たると一回の取引で大きな金額を『出す』ことができる。邦銀と当たるとありがたかった。


 「クレジット・ライン」を調べる手際もだいぶ早くなった。そうなるころには、今度は『出せる』先が徐々に絞られてくる。

 グッド・ネームの銀行であっても、

 「フル・アップ。」
 (Full Up.)
 と答える場合がでてきた。

 もう既に、『出した』金額でクレジットの枠(信用枠)がいっぱいになってしまい、もうこれ以上『出せない』という意味だ。

 グッド・ネームでクレジット・ラインがいっぱいのカウンター・パーティは、もう暗記している。

 普通は、ブローカーからネームを聞いてから、

 「チェッキング・ザ・ライン。」
 (Checking the line.)

 と答えて、実際にクレジット・ラインを調べるのだが、「フル・アップ」であることを記憶しているので、即座に、

 「フル・アップ!」
 (Full Up!)

 と言えてしまう。


 それに、1週間で1000本(10億ドル)から、1500本(15億ドル)『出せば』、もう精一杯だ。

 1/16ごとに500本 『出す』予定なのだが、もちろん、金利が上昇しないで、時としてマーケットの金利が、小幅緩むこともある。

 そういったときは、今日は『出さなくても良さそうだ』とほっとする。




バスケット・ボール 前のページ


バスケット・ボール 次のページ≫


アメリカン・フット・ボール  第5話
 「ブラック・マンデー」 の トップページ


Forex Dealer Dealing Market Foreign Exchange Trading Tokyo London New York Technical Terms


ご意見・ご感想をお寄せください

メール

メールのページ


オリジナル・ホーム トップ・ページ

オリジナル・ホーム


外国為替市場 外為市場 外国為替相場 外為相場 外国為替取引 外為取引 外為用語 専門用語 基礎知識

Line
このページは 松田 哲 が著作権を所有しています。許可なく転載を禁じます。
Copyright 2000-2006 松田 哲 All rights reserved.