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外国為替の基本と
カラクリがよ〜くわかる本

外国為替の基本とカラクリがよ〜くわかる本


落ち葉
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Forex Dealer Stories


ブラック・マンデー
Black Monday   No.26

 正確な加重平均レートで見ると、8.9%がコストだ。 思ったよりも良い。

 田辺課長が9.5%あたりで『出した』のが効いている。

 最初のころに『出した』7.5%はもう6ヶ月のポジションになっている。



 これを見て、俺はブローカーの電話のボタンを「消しゴム付きの鉛筆」で押した。

 「アイ・ペイ・エイト・アンド・セブン・エイス!」
 (I pay 8 and 7/8 !)

 エイト・アンド・セブン・エイス(8and7/8 %, 8.875%)で『取る』と言ったのだ。



 デポ・マーケットも止まることを知らずに、暴落した。

 あっという間に、500本ダンになった。



 【おい、おい、ちゃんと、ライン・チェックしてんのかなぁ・・・・・?

 まあ、今度は、こっちが『取る』側だから・・・・・。 いいんだけど・・・・・】

 そう思いながら、

 「アイ・ペイ・モア!」
 (I pay more !)

 もっと『取るよ』と言っていた。


 瞬く間に、―――まさにそんな感じだった――― 俺の『取った』 アマウント1000本(10億ドル)になり、2000本(20億ドル)を超えた。

 2500本(25億ドル)も超えた。



 【こんなに『取れる』の・・・・・?

 みんな、すぐに『ダン』って、言ってくる。 変だな・・・・・?

 ライン・チェックしてないんじゃないか・・・・・?】



 「フィニシュ!」
 (Finish!)


 「マット! オンリー・テン・ミリオン・モア・・・・・」
 (Matt! Only 10 million more ・・・・・)

 「オーケー。 ザッツ・ダン。」
 (OK.  That’s done.)

 まあ、いいか・・・・・。 そう思って、あと10本『取った』



 ちょっと様子を見るつもりになったのだが、うちのビッドがなくなった途端に、スリー・クウォーターズ(8and3/4%, 8.75%)まで落ちた。



 【えっ・・・・・? 俺だけだったの・・・・・? マーケットビッドしてたのは・・・・・?】


 どうも、そうだったようだ。


 ダウ・ジョーンズの暴落に対して、ニューヨーク連銀が、短期資金を大量に放出したようだ。


 オーバー・ナイト・デポも急落して混乱の中、4パーセント台が『出会った』らしい。

 もう、わけがわからん状態だ。


 短期金利の大幅な下落に反応して、ワン・イヤーをみんな『出した』ようだ。

 あとで聞くと、金利上昇を見込んで『取っていた』ポジションの損切りも、ずいぶんとあったらしい。

 ビッドがなくて、損切りできないような危ない状況で、実際にライン・チェックをしないで『出した』取引先も多かった様子だ。




 夕方、田辺課長が俺のところへ来て、

 「梅田。 良かったな。 とりあえず、もう、だいじょうぶだろう。
 あとは、毎日、短いところを様子見て、『取れば』いいよ。

 まだ、暫らくは、荒れると思うけど、もう『評価損』を心配する必要はないだろ?」


 「はい・・・・・。 ふー・・・・・。」


 俺は、どこかしら釈然としない気持ちと、安堵の気持ちとで、返事と溜め息がごちゃ混ぜになった。





ブラック・マンデー

《とりあえず、了》

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