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結局、ドル・円はじりじりと上がった。
俺の出していたオーダー、「ナナマル売り10本、ナナゴー売り10本、ハチマル売り10本。売り上がり10本ずつ合計30本」は全部「ダン(Done)」になった。
全部売れたらから、ポジションはスクウェアー(持ち高ゼロ)だ。
マーケットに落ち着きが出てきた。
立ち上がってディーリング・ルームを見渡してみると、どうも全体的に人数が少ない。
「おい! どうしたんだ?」
「何人か、飲みすぎで倒れました!」
「・・・・・。」
マーケットはたいしたことなさそうだ。
「おい、ウシ。
おまえ手伝って来い。」
「でも、梅田さん一人でだいじょうぶですか?」
「ああ。 この値動きだったら何とかなるだろう。」
「はい。 じゃあ、手伝いに行ってきます。」
しばらくすると、牛山が白いワイシャツを真っ赤にして、血だらけになって戻って来た。
「ウシ!! どうした?!!」
俺はびっくりして訊いた。
牛山がゆっくりと落ち着いた口調で答えた。
「僕は、だいじょうぶです。
これは僕の血じゃぁありません。
小早川が気を失って、倒れた際に額(ひたい)を切ったんです。
ごみ箱のかどに、おでこをぶつけたらしいんです。
いま、秋山さんが小早川を病院に連れて行きました。」
ここのごみ箱は鉄で出来ていて、腰を掛けて座れるほど頑丈なやつだ。
「キャー! ウシちゃん! だいじょうぶ?」
残っていた女性陣の一人が、血だらけになった牛山に気が付いてびっくりしている。
「ハハハハ・・・・・。
だいじょうぶですよ。
返り血ですから。
洗えば落ちるでしょう。」
「荒井さん、ちょっと手伝って!」
「どうしたの?」
「飯田さんが・・・・・。
ウシちゃんが血だらけになってるのを見て、『大変だ』って、医務室に薬箱を取りに行ったんだけど・・・・・。
廊下の角を曲がりきれずに、壁にぶつかって、気絶しちゃったんです。
廊下で倒れてるから・・・・・。
わたし一人じゃ、運べないんです・・・・・。」
「おい、荒井。 手伝いに行ってこいよ・・・・・。
若い奴じゃ、どうすればいいか、判断できないんだよ。
みんな、困っちゃってるんだろう。
もう、マーケットはだいじょうぶだよ。
静かになってきてるし、もう、お客さんも来ないだろ・・・・・。」
「はい。 わかりました。
じゃあ、こっちの方は、梅田さん、お願いします。」
「ああ。 俺がボードを離れるわけにはいかないから、こっちは俺が見てるよ。」
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