ドル円ユーロ投資入門
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外国為替の基本とカラクリがよ〜くわかる本


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フォレックス・ディーラー物語
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Forex Dealer Stories
「小早川」 No.7

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 結局、ドル・円はじりじりと上がった。

 俺の出していたオーダー、「ナナマル売り10本、ナナゴー売り10本、ハチマル売り10本。売り上がり10本ずつ合計30本」は全部「ダン(Done)」になった。

 全部売れたらから、ポジションスクウェアー(持ち高ゼロ)だ。

 マーケットに落ち着きが出てきた。




 立ち上がってディーリング・ルームを見渡してみると、どうも全体的に人数が少ない。

 「おい! どうしたんだ?」

 「何人か、飲みすぎで倒れました!」

 「・・・・・。」


 マーケットはたいしたことなさそうだ。


 「おい、ウシ。

 おまえ手伝って来い。」

 「でも、梅田さん一人でだいじょうぶですか?」

 「ああ。 この値動きだったら何とかなるだろう。」

 「はい。 じゃあ、手伝いに行ってきます。」


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 しばらくすると、牛山が白いワイシャツを真っ赤にして、血だらけになって戻って来た。


 「ウシ!! どうした?!!」

 俺はびっくりして訊いた。

 牛山がゆっくりと落ち着いた口調で答えた。

 「僕は、だいじょうぶです。
 これは僕の血じゃぁありません。
 小早川が気を失って、倒れた際に額(ひたい)を切ったんです。
 ごみ箱のかどに、おでこをぶつけたらしいんです。
 いま、秋山さんが小早川を病院に連れて行きました。」

 ここのごみ箱は鉄で出来ていて、腰を掛けて座れるほど頑丈なやつだ。


 「キャー! ウシちゃん! だいじょうぶ?」

 残っていた女性陣の一人が、血だらけになった牛山に気が付いてびっくりしている。

 「ハハハハ・・・・・。
 だいじょうぶですよ。
 返り血ですから。
 洗えば落ちるでしょう。」



 「荒井さん、ちょっと手伝って!」

 「どうしたの?」

 「飯田さんが・・・・・。
 ウシちゃんが血だらけになってるのを見て、『大変だ』って、医務室に薬箱を取りに行ったんだけど・・・・・。

 廊下の角を曲がりきれずに、壁にぶつかって、気絶しちゃったんです。
 廊下で倒れてるから・・・・・。
 わたし一人じゃ、運べないんです・・・・・。」

 「おい、荒井。 手伝いに行ってこいよ・・・・・。
 若い奴じゃ、どうすればいいか、判断できないんだよ。
 みんな、困っちゃってるんだろう。
 もう、マーケットはだいじょうぶだよ。
 静かになってきてるし、もう、お客さんも来ないだろ・・・・・。」

 「はい。 わかりました。
 じゃあ、こっちの方は、梅田さん、お願いします。」

 「ああ。 俺がボードを離れるわけにはいかないから、こっちは俺が見てるよ。」




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