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外国為替の基本と
カラクリがよ〜くわかる本

外国為替の基本とカラクリがよ〜くわかる本


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フォレックス・ディーラー物語
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Forex Dealer Stories
ニューヨーク
New York  No.3

グランド・セントラル・ステーション
グランド・セントラル・ステーション

 リムジンが古いホテルの前に止まった。
 運転手さんがドアを開けてくれる。

 運転手さんは、俺のスーツ・ケースを車のトランクから出して、ホテルのボーイさんに渡した。

 田辺課長が運転手さんに、ホテルの前で待つように頼んでいた。



 「よし、梅田。じゃあ行こうか。」

 「どこに行くんですか?」

 「このホテルだよ・・・・・。
 お前はこのホテルに泊まるんだよ・・・・・。
 だから、チェック・インしなくちゃ、泊まれないだろ?」

 「あっ、そうなんですか。
 わかりました。」


 回転式の扉を通って、ホテルのロビーに入った。

 『結構、立派なホテルだなぁ・・・・・。』

 ロビーの天井がものすごく高い。


 「じゃあ、梅田、あそこがフロントだからチェック・インしておいで。
 俺はここで待ってるから。」

 「はい。」

 俺はフロントに行った。

 フロントで濃紺のジャケットを着た金髪の女性が俺に話し掛けた。



 『あれ?
 ・・・・・?』

 なにを言ってるのか全然わからない。


 『あれ?
 英語だぞ・・・・・?』

 よく考えて見ると、日本を出発してから、俺はずうっと日本語しか話していない。

 スチュワーデスは日本人だった。

 イミグレーションでちょっと英語で聞かれたけど、わからなかったら、先方が俺のパスポートを見て『オーケー!』と言って通してくれた。

 田辺課長に迎えに来てもらって、運転手さんも日本人だったから、車の中も日本語だった。


 俺はもう一度、フロントの金髪女性を見た。

 彼女がまたなにか言った。
 やっぱり英語だ・・・・・。

 まったく理解できない。

 頭に血が昇って、頬が熱くなるのだけがわかる。
 俺の頬は赤くなっているだろう。

 また、彼女がなにか言った。

 『だめだ・・・・・。』


  俺は振り返って、田辺課長を見た。

 田辺課長は、ぼんやりと高い天井を見上げている。

 俺が、田辺課長を見つめているのに気が付いて、

 「どうした、梅田?」

 と日本語で言った。

 俺はフロントの女性に軽く手を挙げて、待ってくれるように頼んだ。
 『待ってくれ』という意味が伝わったかどうか不安だったが、どうも、伝わったようだ。

 俺は5〜6メートル後ろにいる田辺課長のところへ戻った。

 「田辺課長、僕、英語、話せませんでした。」

 「・・・・・。」

 田辺課長が、あきれた顔をして、

 「梅田・・・・・。
 さっきお前、英語もがんばるって言ってたじゃないか・・・・・。
 最初の練習だよ。
 がんばって一人でチェック・インして来いよ。」

 「いや、無理です・・・・・。
 まったくわかりません。」

 「じゃあ、俺がやるのぉ?
 俺が泊まるわけじゃないんだけどぉ・・・・・。
 うーん・・・・・、しょうがないなぁ。
 じゃあ、梅田、付いて来いよ。
 サインまでは・・・・・、俺がするわけにはいかないから・・・・・。」

 「はい・・・・・。」

 さっきの女性に田辺課長が英語で話をしている。

 「梅田、ここにローマ字で、名前な・・・・・、住所だな・・・・・。
 それから、ここにサインだ。」

 俺は田辺課長に言われる通りに、名前や住所をローマ字で書いて、サインをした。

 濃紺のジャケットを着た金髪の女性が俺にホテルのルーム・キーをくれた。

 また、彼女が英語でなにか言ったのだが、最後の「サンキュー」の一言しかわからなかった。



 『・・・・・。
 大変なところに来てしまった・・・・・。
 俺、だいじょうぶかなぁ・・・・・。』


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ニューヨーク夜景 NY Loves You NY Photo Archives
ニューヨーク夜景
 中央にそびえ立つ大きな2棟のビルは、ワールド・トレード・センター(One World Trade Center, & Two World Trade Center)。 2001年9月11日に起こった「テロ事件」で倒壊した。
→ワールド・トレード・センター・テロ事件

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 何年か経って、考えると、あの時のフロントの女性は、

 「メイ・アイ・ヘルプ・ユウ?」
 “May I help you ? ”

 とか、

 「ホワット・キャン・アイ・ドゥ・フォー・ユウ?」
 “What can I do for you ? ”

 とか、言っていたんだろうなぁと思う。

 文章にしてみると、いろいろなことが、思い巡る。
 あの時は、こんなことさえできなかったんだなぁ・・・・・。



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