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外国為替の基本と
カラクリがよ〜くわかる本
外国為替の基本とカラクリがよ〜くわかる本
 ファースト・ディール
 The First Deal  No.3


 そう話していると、平井さんが戻ってきた。

 「何だ?
 仕事のこと?」

 「はい。『外国為替』って何ですか?」

 「あー、そういったこと?
 うん、そのうちわかるよ。
 最初は見てればいいから。
 9時から『ゼンバ』が始まるから、まぁ、見ていなさい。」

 「はい・・・。
 あの、『ゼンバ』って、何ですか?」

 「ああ、午前中のことだよ。
 『場(バ)』には、『前場(ゼンバ)』と『後場(ゴバ)』があるんだ。
 午後の取引は『後場(ゴバ)』。
 そういうことも、そのうちわかるから。」

 「はい・・・。」

 よく見ると、周りは全部、普通のオフィス・デスクではない。
 普通の机よりも、一回りも二回りも大きいがっしりとした机に、しっかりとした台が載っている。
 その台は、ちょうど学習机に乗っかっている本箱のようなものだが、教科書や辞書が並べてあるのではなくて、ボタンがいっぱい並んだ機材がはめ込んである。

 時々、そのボタンのライトが点滅する。

 点滅が始まると電話の音がする。電話の音が切れると、そのボタンのライトが点きっぱなしになる。きっと、このボタンが並んでいる機材は電話なのだろう。

 点滅している時が、電話がかかってきた状態で、ライトが点きっぱなしになった時が通話をしている状態なのだ。

 だいたいの想像はつく。電話の交換手になったような気分だ。


トウフォレ・スポット・ライン
ニッタン・スポット・ライン
ウエダ・スポット・ライン
ヤマネ・スポット・ライン
ハトリ・スポット・ライン
コバヤシ・スポット・ライン
マーシャル・スポット・ライン
トウフォレ・フォワード・ライン
ニッタン・フォワード・ライン
ウエダ・フォワード・ライン
ヤマネ・フォワード・ライン
ハトリ・フォワード・ライン
コバヤシ・フォワード・ライン
マーシャル・フォワード・ライン
トウフォレ・デポ・ライン
ニッタン・デポ・ライン
ウエダ・デポ・ライン
ヤマネ・デポ・ライン
ハトリ・デポ・ライン
コバヤシ・デポ・ライン
マーシャル・デポ・ライン
内線・外線ライン
内線・外線ライン
内線・外線ライン
内線・外線ライン
内線・外線ライン
内線・外線ライン

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ディーリング・ボード


 9時ちょうどになると、いっぱい並んでいるボタンが、いっせいに点滅を始めた。
 周りで話す声がいっせいに始まる。

 青山君はせっせと点滅するボタンを押して、大きな声で叫んでいる。

 「『ヨリツキ』は、『ニマル』でーす!
(注):『ヨリツキ』=『寄付
 現状ニマル‐サンマル!」

 すぐに電話を切って、また別のボタンを押して、また叫ぶ。

 「ニーゴー・テイクン! ニマル‐サンマル!」

 この部屋の中で一人だけ、大声を出している。
 また、点滅するボタンを押して、
 「ニマル‐サンマル!」
 「ニーゴー・ギブーン!」
 「ニマル‐サンマル!」
 と、叫ぶ。

 何をしているのだろう・・・?
 数字を言っているのはわかる・・・。
 この数字が、何を意味するのか、だ・・・。

 数字の後に、『テイクン』って言っているなぁ、これはどういう意味だろう?

 英語の“ Take ”の過去分詞の“ Taken ”のことかな?

 訊きたかったのだが、忙しそうだ。
 後で訊いてみようと思って、手帳にカタカナで『テイクン』とメモした。



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(注):  '84年のこの当時、「ボイス・ボックス」のシステムは、まだ、一般的ではなかった。

 「ボイス・ボックス」は、'85〜'86年ころから多くのディーリング・ルームに設置されるようになる。

 それまでは、スポット・ディーラーブローカーから聞いたプライスディーリング・ルームにいる全員に聞こえるように、大声で復唱していた。

 ディーリング・ルームにいるメンバーが、ブローカー・プライスランニング・プライス)を直に聞くことができるようになったのは、「ボイス・ボックス」が設置されてから。

 「ボイス・ボックス」がないころは、スポット・ディーラースポット・デスクアシスタント・ディーラーしか、直接のプライスを聞けなかった。

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第7話 ファースト・ディール
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