「はい! サンマル・テイクン!」
また、その次のボタンを押して、
「サンマル・テイクン!」
と叫んだ。
今度は、平井さんもボタンを押して、電話をしている。
「はいはい、サンマル・テイクンね。
ん、ありがと。」
平井さんは、電話を切ってから、
「サンマル・テイクンですよぉ!」
部屋全体に聞こえる程度の、少し大きな声で言った。
「平井!
強そうなの?」
後ろから、声がした。
「ああ。
今日は、強そうだね。
始まったばかりだけど、買い気だねぇ」
「どこらへんが、買ってきてるのか、わかる?」
「都銀系みたいだよ。
『ナカネ』が不足気味だって、朝から言ってたなぁ。」
「オーケー! サンキュー。」
忙しそうにしているから、訊きにくいのだけれど、訊いておかないと、俺には、何を言っているのか、さっぱりわからない・・・。
「ねぇ、青山君、『ナカネ』って何?」
「いや、すいません。あとで・・・。」
「・・・・・・。」
また、手帳にカタカナで『ナカネ』とメモした。
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