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カラクリがよ〜くわかる本
外国為替の基本とカラクリがよ〜くわかる本
 ファースト・ディール
 The First Deal  No.7


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 何日かは、このようなやり取りを眺めていた。
 平井さんが、そのうちわかる、と言うのだから、そのうちわかるのだろうと思って、黙って見ていることにした。

 何か質問をしても、その質問の答えに、新たな疑問が湧いてしまう。
 どうも、英語とか専門用語が多い。
 英和辞書と外国為替の事典が必要なようだ。
 英和辞典は翌日にすぐ持ってきた。
 よく見ると、青山君の机の上にも置いてある。


 「平井さん、外国為替の取引に関する事典のようなものはないんですか?」

 「ああ。そういうのがあればいいんだけどなぁ。
 そういったものは、ないようだなぁ・・・。
 大きい本屋に行けば、いろいろと、外国為替の本は出てるじゃないか。
 何でもいいから、一冊、読んでみろよ。」

 「はい。」

 というわけで、昼休みに、本屋に行って外国為替の本を買ってきた。
 これを読めば、少しはわかるようになるのかなぁ・・・。

 「前場」と「後場」の場中に読むわけにいかないから、朝の場の開く前とか、昼休みに読むことにした。


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 四〜五日経っても、相変わらず、あまりよくわからない。
 そりゃ、四〜五日じゃあわかるはずはないのだろう。


 初日は鉄のゴミ箱を持ってきて、それに腰掛けていたのだが、余っているディーリング・ルームの椅子を持ってきた。

 ディーリング・ルームの椅子は特注の椅子だそうだ。バック・オフィスの椅子と比べると、一回り大きくて、座り心地がいい。ディーリング・ボードが大きいから、このサイズになるのだろう。肘掛も大きい。
 その肘掛に左腕を乗せて、左手にあごを乗せて取引を眺めている。

 前場は、緊張して、取引を見ているのだが、後場になると、どうも眠くなってくる。
 わけがわからないものだから、余計にそうだ。一生懸命、見ているつもりなのだが、だんだんと意識が遠退いて行き、ついに、まぶたがくっついてしまう。要するに居眠りだ。
 それでも、時々、青山君がプライスを叫んでいるのはわかる。ただ、それがいくらなのかは記憶に残らない・・・・・。


 突然、平井さんが俺に声をかけた。

 「チミは、寝るねぇ・・・。」

 「んん・・・。あっ、すいません。
 つい、ウトウトしちゃいました・・・。」

 「ボクは、割と怖いと思われるタイプなんだけどねぇ。」

 「いやぁ・・・。
 そんなに怖くはないですよ、平井さんは・・・。」

 「あっそぉ・・・。
 図太いタイプなのかねぇ、梅田君は。」

 「・・・・・・。」

 「じゃあ、今から『ポジション』取りなさい。
 そりゃ、黙って見てるだけじゃ、眠くもなるわなぁ。」

 「はい・・・。
 あのぉ・・・、『ポジション』って何ですか。」

 「あぁ、持ちゃぁ、わかるよ。」

 「はぁ・・・。」

 「『ポジション』は3本までネ。
 3本まで、好きなようにやっていいから。
 だた、ブローカーさんと話すときに、『1本、売った』とか、『2本、買った』とか、ちゃんと言うんですヨ。
 ブローカーさんもバカだからねぇ・・・。気が利かないし・・・。
 梅田君が、いきなり大きい声で、『売った!』とか、『買った!』とか、言うと、そこにあるのを、全部売っちゃたり、全部買っちゃたり、しちゃうからねぇ。」


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