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フォレックス・ディーラー物語 |
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Forex Dealer Stories |
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ファースト・ディール |
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The First Deal |
No.12 |
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青山君が、話をさえぎって、
「サンゴー・テイクン!」
と、叫んだ。
「梅田さん! 良かったですねぇ!
『持ち値』ですよぉ、今が!」
「そうだねぇ・・・。
何だか、ホッとする・・・。」
「『アゲインスト』の時って、力が入るだろう?」
平井さんが、俺に訊いた。
「『アゲインスト』?」
「『負けてるとき』のことですよ。英語の
“Against”。」
青山君が説明を加えた。
「『勝ってるとき』は、『フェイバー(Favor)』。」
青山君が、またブローカーさんの電話をピック・アップして、
「ヨンマル・テイクゥーン!」
と言った。
「梅田さん、『フェイバー(Favor)』ですよぉ!」
一緒に喜んでくれている・・・。
青山君て、いい奴なんだなぁ・・・。
でも、今度は売らなくちゃいけないはずだ。
また、落ちちゃうかも知れないし・・・。
だけど、さっきまで、あんなに我慢してたんだから、もうちょっと、様子を見てみようか・・・。
売るときは、『売った』って、言えばいいんだよな。
そう考えていると、ディーリング・ボードの左上のライトが一斉に点滅した。
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あわてて、青山君がボタンを押している。
「ゴマル・テイクーン!」
次のボタンを押して、
「ゴマル・テイクーン!」
と、また叫んだ。
「何か、ニュースでもあったんじゃないか?
青山、ブローカーさんに訊いてみろ!」
平井さんもボードのボタンを押している。
「もし! 何かあったの?
ふーん・・・。
あっそう・・・。
どこら辺が買ってるの?
・・・・・。
ん、ありがと。」
平井さんが、電話を切って、俺に言った。
「ニュースじゃないみたいだな。
『ボット』が買ってるって。
さっき、ニマルを売り込んでいたから、『損切り』の買戻しじゃないか、って言ってるねぇ。」
俺に説明してくれているのはわかるのだが、どうも専門用語がわからない。『ボット』って何だろう?
さすがにこれだけわからない言葉が多いと訊き返し難い。
『居候(いそうろう)、三杯目にはそっと出し』
場違いだし、ちょっと状況は違うのだが、何故だかそんな川柳を思い出した。
勇気を振り絞って『そっと』訊いてみよう。
訊かないとわからない。
「あの・・・。
『ボット』って、何ですか?」
「ああ、『ビー・オー・ティー』のことだよ。」
平井さんが、メモ用紙に、『BOT』と書いた。
「『東京銀行』のことさ。
『バンク・オブ・トウキョウ( “Bank
of
Tokyo” )』。
外為専門銀行だな。
東京市場で、一番活発に取引している銀行さ。」
青山君が、平井さんと俺に言った。
「他のブローカーさんも、全部、『ボット(BOT)』みたいですね。
一斉に買ったようです。
7、80本は買ったんじゃないですか。
ヨンゴーの売りも少しあったんですけど、ゴマルにまとまった売りがあるので、それを買って行った、って、ブローカーさんが言ってました。」
「そっか。」
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