俺は、青山君のディーリング・ボードの右の受話器を借りて、『KBS』と書いてあるボタンを押した。
「はいはいー、おはようさんですぅー。」
「も・・・。もしもし・・・・・。」
俺は慣れていないし、ふざけて出てきたのかと思って、あっけに取られてしまった。
「ははぁ・・・。
すいません。
『ヒライちゃん』か『アオちゃん』か、と思ったけど、その声は梅田さんですね。
初めまして。
ごめんなさい。びっくりさせて。」
「いえっ、おはようございます。」
「おはようございます。
今日もよろしくお願いします。」
「今日はどうなるのか、教えていただけますか?」
「『相場』ですから、どうなるかは、誰にもわからないんですよ。ただ、どうなると思うかはありますけど。」
「はい。」
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