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 ファースト・ディール
 The First Deal  No.15

 内村さんが続けた。

 「今日も、ドルが強いでしょうね。
 昨日の東京市場で241円台のミドルが底固くなりましたよね。
 海外のロンドン・ニューヨーク市場でも、241円ゴマルが割れなくなっていますから、241円ゴマルは、もう届かないんじゃないですか?
 そう考えると、242円が割れたところは、もう『買い』でしょう。
 ひょっとすると、242円は、今日は割れないかも知れませんよ。」

 「そうですか・・・。」

 「242円のイチマル(242.10)で少し買ってみて、242円が割れるようならば、241円ハチマル−キューマル(241.80−90)くらいで、『ナンピン』していいんじゃないですか?」

 「『ナンピン』って、何ですか?」

 「漢字で、『難しい』という字に、『タイラ』と書きます。
 『平和(へいわ)』の『平(へい)』の字ですね。」

 俺は、机の上のメモ用紙に『難平』と書いた。
 俺の字もたいして上手くない。

 「これで、『ナンピン』と読むんですか?」

 「マージャンの『平和(ピンフ)』の『平(ピン)』ですよ。」

 「なるほど。」

 「例えば、242円のイチマルで買って、さらに下がった241円キューマルを買うと、平均レートは下がりますよね。この場合、アベレージは242円チョード(242.00)になりますよね。

 だけど、241円キューマルが買えるということは、241円90銭まで『相場』は下がっているのですから、実際は負けているわけです。

 だから、『難しい平均』で、『難平(ナンピン)』。」

 「ふーん・・・。」

 「でも、241円のキューマルで買えるかどうかは、わからないじゃないですか。現状はニマル・サンマルくらいですから。」

 「そうですね。」

 「たぶん今日の『寄付き』は、ニーゴーか、サンマル程度でしょうから、まあ、イチマルあたりは買えるんじゃないかと思ってますが・・・。」

 「なるほど・・・・・。わかりました。ありがとうございます。」

 「わからないことがあったら、いつでも、遠慮なく聞いてくださいね。
 『聞くは、一時の恥。知らぬは、一生の恥。』ですよ、ウメちゃん。」

 「はい。」

 俺も、いつの間にか『ウメちゃん』にされてしまった・・・・・。


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 『ウメちゃん』ていうのは、妻の実家で飼っている『狆(チン)』の愛称だ。

 『狆』は、そう見えないのだが、純血の日本犬で、家柄があるらしい。

 『ハナノキソウ家』(字は忘れてしまった)といったタイソウな苗字を持っている。下の名前が『卯目之介(うめのすけ)』 だから、『ウメちゃん』と呼んでいる。それを思い出して、ひとりで笑ってしまった。


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 内村さんが、遠慮なく聞いてくれって、そう言ってくれると、質問がしやすいかも知れない。

 みんなが忙しくて、わからないことがあったら、訊きにくいときは、内村さんに訊いてみよう。


 「内村さんは何て言ってた?」

 平井さんが俺に訊いた。

 「242円イチマルで買って、241円キューマルで『難平(ナンピン)』しなさいって言ってました。」

 「おっ、梅田さん!
 専門用語が出てくるようになりましたねぇ。
 『難平(ナンピン)』ですかぁ。」

 青山君が、ニヤニヤしている。

 「言葉が難しいよねぇ・・・。」

 「すぐ慣れますよぉ。意味は単純ですから。」

 「そうかなぁ。」



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