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 ファースト・ディール
 The First Deal  No.22

 「梅田君も『大盛り』かぁ。
 よく食えるねぇ。
 青山が『大盛り』なのは、こいつは、でかいからわかるんだけど・・・。
 普通は、『ポジション』持たせると、食えなくなる奴も多いんだけどねぇ。」

 「はあ・・・。」

 「オレなんか、『ポジション』持ち始めたころは、胃が痛くて、食欲がなかったけどなぁ。
 やっぱ、図太いタイプなんだね、梅田君は。」

 「・・・・・。」

 「いやっ、いいことだよ、それって。
 適性があるんじゃないか?」

 「はあ・・・。
 そうなんですか・・・?」

 「いやぁ、梅田さんは、動揺しないからやり易いですよ。
 さっきも、カスタマーに『ドル円5本!』って訊かれたときですけど・・・。
 平井さんはいないし、梅田さんは、まだ、わからないみたいだし・・・。
 ボク、どーしようかと思いましたよぉ・・・。
 しょうがないんで、とりあえずボクがクォートしたんですけど、梅田さんは堂々としてましたよねぇ・・・。」

 「あっそぉー・・・。
 オレがいない間に、そんなことあったんだ。」

 「いやー、あん時は、あせりました。」

 「・・・・・・。」

 「オレがいないときには、梅田君がクォートしてね。
 任せるから。」

 「はいっ、そう思って、あれからは、緊張して聞いていたんですけど・・・。
 平井さんがクォートするレートと、マーケット・レートは違うじゃないですか。
 ボクには、ああはいかないですけど・・・。」

 「あー、気が付いた?
 筋がいいねぇ。
 そういったことって、しばらくしてからわかるようになるんだけどねぇ。
 すぐには気が付かないんだよね、普通は。」

 「それも、お客さんが買ってくる時には、高くレートを傾けて、お客さんが売ってくる時には低くレートを傾けて出しているじゃないですか。
 わかるんですか?
 お客さんが、売ってくるのか、買ってくるのか?」

 「ああ。だいたいわかるよ。
 お客さんのネーム(会社名)を聞けば、売ってくるのか、買ってくるのかは、決まってるんだよ。」

 「そうなんですか?」

 「ああ。
 自動車とか、電機だとかの輸出メーカーだったら、だいたい『ドル売り』に決まってるし、石油会社とかは『ドル買い』に決まってるんだよ。石油会社は輸入をやってるんだからね。」

 「なるほど。」

 「だから、『ドルを売ること』を『輸出予約』、『ドルを買う場合』は『輸入予約』を取る、って言い方もするんだよ。」

 「はあー、そーなんですか・・・。」

 「ボクたちが取引している『スポット』は、二日後に『決済』されます。
 だけど、お客さんの取引は、『足伸ばし』といって、『決済日』を、もっと後の日付に決めるんです。だから『予約』です。」

 「『決済』って?」

 「ドル資金と円資金を交換するんですよ、その『決済日』に。」

 「ふーん・・・。」

 「『決済日』のことを、専門用語で、『バリュー・デート(Value Date)』って言います。」

 「ふーん・・・。」

 「例えば、我々が『ドルを買った』とするだろ?
 そうすると、その『決済日』に、ニューヨークのうちの指定した口座にドルが入金されるわけだ。
 その代わりに、我々がドルを買ったということは、円を売ったことでもあるわけだから、同じ日付で、相手の銀行に円を支払わなくちゃいけないだろ?」

 「はい。」

 「だから、相手方の銀行に円を送金するわけさ。
 円資金は東京で動いていることになるな。」

 「・・・・・・。」

 「ドルを買った場合、ドルを受け取るのはニューヨーク時間で、円を支払うのは東京時間ってことになるよな。」

 「はい。」

 「そこには『時差』があるだろ?
 別な言い方をすると、東京時間に、円資金を支払って、ニューヨークが開くまでは、まだ、ドルを受け取っていないという時間帯ができちゃうんだ。
 昔、その時間帯に大銀行が潰れて、その銀行から受け取るべきドル資金の回収ができなくなった。
 それで、連鎖的に資金が滞って、市場が大混乱をしたことがあったんだ。
 ドルを買ったから、円資金を支払ったのに、ドルを受け取れないわけさ。
 為替の売買は、取引単位が大きいから、その受け取るべきドルも含めて、口座の残高を管理している。
 そのドルを受け取れないから、口座がマイナスになっちゃうんだよ。
 ドルの入金がないから、ドルの支払いがあっても、その支払いをストップされちゃうんだな。」

 「なるほど・・・。」

 「このリスクを、『ヘルシュタット・リスク』って言うんだ。
 その潰れた大銀行の名前が『ヘルシュタット銀行』だったらしい。」

 「ふーん・・・。」

 何だか難しい・・・。


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第7話 ファースト・ディール
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