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フォレックス・ディーラー物語 |
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ファースト・ディール |
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The First Deal |
No.23 |
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後場に向けて、まだ30分ほど時間があった。
ディーリング・ルームに戻って外国為替の本でも読もうか、そう思って先に食堂を出た。
カフェテリアは混んでいて、座る席は空いていないだろう。
缶コーヒーを買って、ボードに戻ると、青山君も戻ってきた。青山君はウーロン茶の缶を手にしている。
「梅田さん、今日もプラスですねぇ。
すごいじゃないですか。」
青山君が話しかけてきた。
場中はゆっくりと話す間がないので、いい機会だ。
「でも、平井さんは褒めてくれなかったよ、昨日は・・・。」
「いやぁー。たいしたもんですよ。
ちゃんと勝ってるんですから。」
「そうなのかなぁ・・・。
もう少しがんばらないといけないのかなぁ、って思っていたんだけど・・・。」
「いやぁー、昨日から始めたばっかりなんですから・・・・。
あわてなくって、いいんじゃないっすか?」
「そーぉ・・・。
後場も、もうちょっとやってみようとは思ってるんだけどね。」
「だったら、また内村さんと情報交換とか、しといた方がいいんじゃないっすか?
ゲンを担ぐわけじゃないですけど。」
「そうだね。
今、大丈夫かなぁ、内村さんは?」
「『後場』が始まっちゃうと、かえって話し難いですよ。
きっと、今の方が、都合がいいと思いますよ。」
「そっか・・・。
じゃあ、電話してみるね。」
俺は『KBS』のボタンを押した。
「はいはいー! 内村ですぅー!」
内村さんの、この口調にもだいぶ慣れてきた。
「梅田ですぅー。
後場はどうですかぁー?」
「あっ、ウメちゃんですかー?
いやいや、『前場』はありがとうございました。」
「いえ、初心者なものですから、アマウントが少なくてすいません。」
「いやっ、そんなことはないんですよぉー。
『コバヤシ』は弱小ブローカーですからね。オーダーをいただけるだけで、充分にありがたいんです。
相場が荒れると、プライスがなくなっちゃうんですよ、ウチは・・・。
だから、ほんとにオーダーを置いてもらえるのは、ありがたいんですよぉ。」
「はぁ・・・。」
「ごめんなさいね。さっきもオーダーがダンになるのも、よそと比べて遅かったでしょ?
わかってるんですよ。
でもね、よろしくお願いしますね。頑張りますんで!」
「はぁ・・・。」
返事に困ってしまう。
「うまくいきましたか、『前場』は?」
「はい。内村さんのアドバイス通りにイチマルで買って、サンマルで利食いました。内村さんのところでやりましたでしょ?
ありがとうございました。」
「そうですかぁ!
嬉しいこと言ってくれるじゃないですかぁ!
ブローカー冥利に尽きますねぇー。」
「いえいえ・・・。
そこで、『後場』も教えていただこうと思いまして・・・。」
「いやいや、お恥ずかしいですねぇ。
相場ですから、当たるとは限らないですからね。
『当たるも八卦、当たらぬも八卦』ですよ。
信じ過ぎてはいけませんよ。」
「はい。わかります。
でも、ボクみたいな、全くの初心者にとっては、何を聞いても勉強なんですよ。」
「ウメちゃんは謙虚だねぇー。
いやっ、いいことですよ。
謙虚に聞く耳を持たないと、相場には勝てないんですよ。
素直な気持ちがないとダメですね。
かといって、素直なだけじゃ、これまたダメなんですよ。
人が何と言っても『売るんだ』、『買うんだ』といった頑固さがないとね。
そうじゃないと、『ポジション』なんか取れないでしょ?」
「ふーん・・・・。」
「みんなの言う通りに、売ったり買ったりしても、それは、必ず、最後に負けます。」
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