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外国為替の基本と
カラクリがよ〜くわかる本
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 ファースト・ディール
 The First Deal  No.28

 「相場で一番大事なことは、『損切り』なんだ。

 うまくいっている時は、いいんだ。
 そういう時は、誰でも適当に売ったり買ったりするんだよ。

 ところが、『アゲインスト』になると途端に手が出なくなる。
 そういうものなのさ。
 そういう時は『損切る』勇気がないとなぁ。

 『損切り』をするということは、『相場』に対して判断を持続している、ということでもあるんだ。

 『ポジション』を持って『損切り』ができなくなると危ないんだよ。
 こうなるんじゃないか、とか、こうなって欲しいとか、自分に都合のいい『願望』になっちゃうんだな。

 それで、切らないで持っちゃう。

 たまに運良く助かることもあるけど、大抵はそうはならない。

 判断はストップしているから、取引はスタックしちゃう。もう手が出ない状態だな。
 もう売りも買いもできなくなっちゃうわけさ。
 思考もそこでストップしたままだな、そうなると。」





ライン

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 「梅田君、今日はどうだった?」

 「はい!
 今日は30万円の利益です!」

 「あっそぅ。」

 「・・・・・・。」





 あれ・・・・・?

 やっぱり今日も褒めてもらえないのか・・・・。

 20万や30万くらいの儲けじゃ少なすぎるってことなのかなぁ・・・・?


ライン

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 その翌日は、さらにドル高で相場が始まった。

 243円50銭で寄り付いた。

ロイター・モニター



 「寄付き」からドルは買い気であっという間に244円チョードも抜けた。


 カスタマー・ディーラーの要求するプライス・クォーテーションもひっきりなしだ。

 平井さんが、何度もカスタマー・ディーラーにプライスを怒鳴り返している。


 ドルを買う顧客が多い。


 ディーリング・ルーム内で飛び交う、みんなの声が大きい。

 青山君のディーリング・ルームで叫ぶ声が、少し上ずっている。

 みんな、浮き足立った雰囲気だ。


 俺も、顔が火照っている。何だか背中が熱い。


 それなのに今日は朝から何もできていない。

 相場の動きが激しくて、ついていけない。

 手が出ない状態って、こういったことを言うのかな・・・・?

 何かしなくちゃ・・・・。

 気ばっかり焦るのだけれど、どうも考えがまとまらない。




 「『仲値』ゴーマル!
 244円50銭が、本日仲値です!」

 青山君の大きな声が聞こえた。

 そっか・・・・。
 もう10時かぁ・・・・。

ロイター・モニター

 『前場』が始まってから、1時間も経つのに、何もできなかったんだ。


 まだ、ドルは上がるのかなぁ・・・・。

 「ロクマル・テイクン
 ロクマル買い!」

 青山君の声が聞こえる。


 まだ、強そうだ。

 仕方がない、ドルを買うか・・・。

 俺は『トウフォレ』のボタンを押した。



トウフォレ・スポット・ライン
ニッタン・スポット・ライン
ウエダ・スポット・ライン
ヤマネ・スポット・ライン
ハトリ・スポット・ライン
コバヤシ・スポット・ライン
マーシャル・スポット・ライン



 「もし!
 ロクマル、ナナマル!」

 「イッポン買った!」

 「ナナマル、1本 ダン
 244円ナナマル(244.70)です。」

 「はい! ありがとうございます!」

 244円70銭でドルを買った。

ロイター・モニター



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第7話 ファースト・ディール
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