まだ上がると思ったドルは244円90銭を高値に、245円チョード(245.00)には届かなかった。
|
245円チョード(245.00)が、つかないことを確認すると、ドルはストンと落ちて、244円70銭がすぐに『売り(オファー)』になってしまった。
しばらく、244円ゴマルと244円ナナマルの間で往復を繰り返している。
|
|
|
朝からドルが強かったので、買いそびれた人たちの『買い(ビッド)』が、244円50銭にまとまってあるようだ。
「ゴマル出合って、なお買い!」
「ゴマル出合って、なお買い!」
何回も、青山君が大声で叫んでいる。
ゴマルが割れなければ、きっと244円70銭よりも高いレートで売れるだろう、そう思った。
だったら、244円50銭で『難平(なんぴん)』すればいいか。
244円50銭でもう1本買うと、アベレージが244円60銭になる。
他のブローカーさんも使ってみた方がいいだろうし・・・・。
左から二番目の『NIS』と書いてある『ニッタン』のボタンを押した。
|
|
「もし!
ゴマル・ロクマル!」
何だか、ちょっと訛ってる。ブローカーさんの喋り方もいろいろなようだ。
「もしもし、あのぉー、ゴマルの『買い』を1本見てください。」
「はい、お預かりします!
あの、すいません、梅田さんですか?」
「はい、梅田です。はじめまして。」
「あっ、水戸と申します。こちらこそはじめまして。
よろしくお願いいたします。
じゃあ、ゴマルの『買い』1本お預かりいたしますので!
ありがとうございます。」
『NIS』のライトが光って、青山君が、
「ゴマル1本 ダン!」
と、俺に言った。
これで、合計2本買った。
アベレージは244円60銭だ。
「ゴマル売り!
ヨンマル・ゴマル!」
青山君の声が響く。
ゴマルのまとまった『買い』をこなすと、今度はゴマルが『売り』になってしまった。
「ヨンマル・ギブン!」
「サンマル・ギブン!
ニマル・サンマル!」
青山君の声は心持ち小さい。
俺に気を使っているみたいだ・・・・。
確かにドルは下がる時の方が速い。
ドルが上がる時は、上下動を繰り返してから上昇するのに、下がる時は一気に下がる。
「梅田さん、下がってきましたよ。
ニマルがサポートするようならいいんですけど・・・・。
ニマルが切れたら、投げた方がいいかもしれませんよ。」
|
「・・・・。
そっかぁ・・・・。
うーん、むずかしいなぁ・・・・。 『相場』って・・・・。」
「ポジションは2本ですよね?」
「うん。
ニマルが切れたら売るよ。」
|
|
|